ラボふじしまパーティ10周年祭(その2)
先日、ラボふじしまパーティ10周年祭が無事に開催されました。準備期間よりずーっとコロナに悩まされ、何度も断念しようかと悩みましたが、子ども達の終わった後の達成感に満ち溢れた笑顔をみて、発表の場を与えることの大切さを感じました。ちいさな仲間は「まよなかのだいどころ」5歳以上は「15少年漂流記」に取り組みました。
発表会の進行、司会もすべて子ども達がします。
5周年の時は原稿を作ったり、発表会の準備は殆どテューター(指導者)が行いました。今回は全て子ども達で実行。時間も無くて、とくに実行委員会を設けなかったのですが、パーティ(活動レッスン)の合間にさっと相談して、当日は問題なくスムーズに行われました。声もしっかり出ていて、見ていて安心。本当にパーティのラボっ子(生徒)の成長を感じました。
自分たちで表現したいものを造ります
15少年漂流記の原作は「2年間の休暇」です。フランスのジューン=ベルヌ氏が書いた小説です。ふじしまパーティは昨年7月に2話の発表をしました。その時に子ども達が、楽しそうに表現している姿をみて、また、もっともっとお話しを掘り下げて考えてみたいという様子をみて、1~4話すべてを発表したいという目標が私の中で生まれました。ちょうど今年は「ラボふじしまパーティ」発足10周年です。その提案を子ども達にした時、全員一致で快諾してくれました。昨年の発表前の準備から考えると、まさに2年間かけて作り上げる事となりました。
そしてお話し全話を行うということは、当然、発表時間が長くなります。それを少しでも短くするには、と今回は初めての試みですが、英語のみで発表する事にしました。高学年といっても小学生が中心で下は5歳の仲間がいます。合計80分のお話しを全て英語だけで動いていて、ちゃんとお話しについてこれるのだろうか・・・・色んな不安が脳裏をよぎりましたが、やると決めたのだから、最後まで頑張ろう!と突っ走ることとなりました。
テーマ活動とは、お話しを聞いたり読んだりしながら、時には音楽からヒントをもらったりして、自分たちで何を大切にして、何を表現したいか、を決めます。このお話しの主人公は8歳から14歳までの少年達です。つまり、ふじしまパーティの仲間たちと重なる部分がたくさんあります。だから、2年かけても未だなお触れていたいお話しなのかもしれません。
表現する時に衣装や背景のセット、大道具、小道具などはありません。すべて身体を使って表現します。
この写真は少年達が夏のバカンスの為、スラウギ号に乗り込むしーテンです。
冒険もやってみないとわからない
冒険のお話しなので、無人島の人が歩いたこともない林を歩いたり、崖に上ったり、海で遊んだり、というシーンがお話し全体に書かれています。最初にそれを演じた時、「あれあれ、みんなの歩き方、平らな道路に見えるよ。」「崖ってそんなにひょいひょい登れないよ」と子ども達の動きを見て違和感を感じました。そうなんです。子ども達実際にやったことがなかったのです。
先ずは木登りに始まり、道のない森の木の中を歩く、土の崖を滑りながら登ってみる、岩の崖を登ってみる、海で遊ぶ、泳ぐ、時間があったので休みの日やパーティの時間に実際に探検をしました。木に登れない小さな仲間の手を引っ張ったり、泳げない子の身体を支えたり。仲間と一緒に何度か訪れた冒険を繰り返すうちに、少しずつ動きがそれらしいものに変わっていきました。
崖を登るシーンは大きな子が岩山を作り、そこを小さな仲間たちが実際に上って表現しました。
お話しの設定は南米沖の無人島です。自然豊かでアザラシやペンギンがたくさんいます。みんなでその景色をイメージして表現を考えました。「岩礁ってなに?」「アザラシってどうやって歩くの」など一つ一つのイメージを皆で話し合って決めました。
お話しの中で大切にしたいもの
このお話しのテーマを決めた時、子ども達が出したものは、「協力、挑戦、仲間」です。いくつか印象的だった話を紹介します。
黒人だって大切な仲間
15少年は先ほど話した通り14歳までの少年のお話しです。その中で一人見習い水夫の黒人少年が登場します。無人島で暮らすために大統領選をしますが「彼には投票権がなかった。」というところで黒人水夫の扱いについて話し合いをしました。奴隷という言葉を知らない子のために、大きな子が色々と調べ説明もしました。
「大人は直ぐに差別をするけど、子どもは能力のある仲間だからむしろ何でもできて尊敬している」という意見が出ました。
また、お話しの最初からずっとフランス人の子とイギリス人の子の対立があります。日本人である私たちにはあまり意識がない国民性の違いなどを考えました。最初はいがみ合っていた二人でしたが、相手が自分と同じ考えで行動していることがわかり、互いを認め合うことができました。その時、友情が国境を取り払うこととなりました。
仲間と協力する大切さ
お話しの途中で人骨を発見するシーンがあります。それを見た時に、「ひとりで無人島に漂流したら助からないかもしれないけど、ぼくら(すでに15少年になっていますね)は一人ではないから生きて帰れるんだよ」と意見が出ました。
上の写真は住む場所とする洞窟を掘って広げるシーンです。当然小さな子もできる仕事を協力しただろう、と話し洞窟を掘る力仕事はできないけど、一輪車で掘った土砂を運ぶことはできるかも。と手押し車でそれを表しました。
たとえおそろしくても、ひるまずに挑戦せよ。
今回、10周年記念Tシャツを作成しました。背中のロゴには、「チェアマン学校の教訓」を書いています。色々恐ろしい事件が起こったり、困難とぶつかるのですが、仲間と協力して、恐ろしくても挑戦する。大切にしたものの一つです。
物語途中のオープニングのシーンでは少年達に訪れる恐ろしいものを表現しています。
命について考える。
子ども達が大切にした表現です。一番最後に島を去るときに何をしただろう??と話した時「島に一人で漂流して命を落とした人(ボードワンさん)と、ぼくたちを助けるために親分に抵抗して命を落とした人(フォーブスさん)に対して感謝の気持ちを表したい」と言う意見がありました。最後の歌では2人の子が十字架を表現し皆でそれを拝みました。とっても大事にして考えたシーンだったのでTシャツのデザインにも採用されました。
冒頭より対立していたフランス人のブリアンとイギリス人のドニファンが仲直りするシーンです。二人の友情が端から順番につながって最後に握手をします。最後にパーティ全員の手が繋がります。実際に見ていて、ちょっと感動しました。
ブリアンに推されて大統領となったゴードンのシーンです。ふじしまパーティ最年長の女子(高2)と男子(中3)の2人。本当によく仲間たちを引っ張ってくれたなぁ。この2人がいなかったら、きっと今回の発表はできなかったと思います。
無人島の生活はとっても楽しかった
無人島での生活をイメージした時、誰もが「楽しい」と答えました。仲間と一緒に共同生活してつまらないはずがない、と言い切るのはさすがに毎年キャンプのロッジで共同生活している子ども達だから言えるのだろう。と納得。なので、日々の生活の表現では皆が笑顔で演じていました。「本当に実際にみんなで暮らしてみたい」といった感想を言った子もいました。
2話で地図を広げてみながら、島のいろいろな場所に名前をつけるシーンでは、皆が肩を寄せ合い嬉しそうに地図を眺めて本当に名前をつけているようでした。ふじしまパーティらしい表現だなぁ・・・とみていて微笑ましくなりました。
ふじしまパーティらしさ、仲間・協力・挑戦
本当に、この2年間はお話しと同じで、常に仲間と協力しながら困難に挑戦し、悩みを解き、15少年の冒険を自らしていたようでした。完璧な発表ではありませんでしたが、10年間の子ども達の成長をしっかりと感じ、今のふじしまパーティに相応の素敵な発表を見せる事ができました。
さぁ、これからも仲間と協力しながら次のステージでいろいろな挑戦をしよう。
自由に楽しんで自主性を伸ばすラボパーティ
ラボパーティでは、○○しなさい。△△しちゃダメです。は一切ありません。子ども達が楽しく自由な発想でお話しを楽しんでいたら大成功。そんな中で創造力や自主性を育てます。
仲間と一緒に楽しく表現活動をしながら英語を学ぶラボパーティ。是非一緒に仲間になって楽しみませんか?